サステナビリティ

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(4) 研究開発

 早期の実用化が期待されている燃料電池や,電気自動車関連用電池の開発など,地球温暖化防止に向けた研究開発に取り組んでいます。

◇固体電解質型燃料電池の研究開発
 水の電気分解の逆の反応により水素等を燃料として発電する燃料電池は,エネルギー効率が高く,低騒音,低振動,大気汚染物質の発生が少ないなど,多くのメリットを持っています。中でも発電時の温度が約1,000℃と高く,ガスタービン発電との組み合わせにより,大容量発電プラントの開発が期待できる固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell) について,セルとモジュールの研究開発を進めています。
 また,発電時の温度が約100℃と低く,起動時間が短いこと,安価な材料が使用できることなどから,将来,家庭用燃料電池として普及する可能性のある固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell)の実証試験も進めています。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)
固体酸化物型燃料電池(SOFC)

◇発電所の未利用廃熱による発電システムの研究
 未利用エネルギーを有効に利用する方法の一つとして,発電所排ガス中の熱エネルギー回収を目的に,熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子の適用性に関する研究を進めています。
 熱回収法として,ヒートパイプの適用性について評価するとともに,効率,コスト,環境負荷を考慮した新規材料の開発を行うことにより,材料からシステムまで一貫した研究開発を行っています。

●熱電発電の原理
熱電発電の原理の図説

◇電気バスの開発
 電気自動車はNOx,CO2の発生レベルが低く,低騒音であるなどの環境優位性を有しているため,九州電力では従来から電気自動車の研究開発に取り組んでいます。
 1999年度は,玄海原子力発電所構内見学用に国内最大級(定員28名)の電気バスを開発しました。
電気バスの写真

◇電気自動車関連用高性能電池の開発
 電気自動車用高性能電池として,リチウム電池の開発に取り組んでおり,1999年度までに1kWh級モジュール電池を試作・評価し,既実用化鉛電池の3倍の蓄電能力を有することを確認しました。今後は,モジュール電池を組電池化し,2年後の商品化に向けて研究を進めていきます。 電気自動車用高性能電池の写真




◇センダンのCO2吸収能力の評価と植林に関する研究
 地球温暖化対策の一つとして,植物のCO2吸収能力の活用がありますが,センダンはこの能力が優れた樹木です。また,センダンは九州全域(標高600m以下)に分布し,ケヤキやキリと同様に,建築材,家具材などとして利用できる付加価値の高い樹木でもあります。
 このようなことから,九州電力では,組織培養により大量増殖した「高いCO2吸収能力と木材としても優良なセンダンの苗」を社有地に植林し,CO2吸収能力を評価するとともに,植林技術の確立のための研究開発に取り組んでいます。

○これまでの研究内容
九州の街路樹に広く利用されている樹木の中から,CO2吸収能力が高く,樹木の成長が早い落葉広葉樹であるセンダンを社有地へ植林する樹木として選定
樹木の成長が早く,木材としても付加価値の高い形質の優良木苗を組織培養により大量増殖させ,農業電化試験場前原分場で,30~70㎝程度の山だし苗まで育成
2000年3月,宮崎県の九州電力社有林(清水峠山林)のスギ伐採跡地に苗1,240本を植林
社有地への植樹直後の状況写真
社有地への植樹直後の状況
○今後の進め方
CO2吸収固定能力の評価
将来の事業化に向けた施肥,芽欠き,枝打ち,間伐などの植林技術の確立
植樹4ヵ月後の状況写真
植樹4ヵ月後の状況
[センダンの概要]
落葉広葉樹で,葉は大型の羽状複葉である。
成長が極めて早い樹木であり,成木の樹高は20年程度で最大30mになる。
成長後のセンダンの概観の写真
成長後のセンダンの概観

概  要


湿地,乾地に強い
比較的土地を選ばない
移植はやや困難
病虫害,踏み固めに強い


街路樹,公園樹
学校,公共広場などの緑化樹


沖縄,九州,四国
本州中南部,太平洋岸沿

[センダンのCO2吸収能力]
CO2吸収能力は,CO2吸収量と成長量が大きいほど高い。
ヤマザクラやクスノキ等の広葉樹(48種平均)に比べ,CO2吸収量や成長量が約3倍。
センダンのCO2吸収能力のグラフ